受動喫煙の防止対策として、厚生労働省は年度内に、飲食店や百貨店など多数の人が利用する施設は原則全面禁煙とするよう求める通知を出すことを決めた。03年施行の健康増進法は、こうした施設の管理者に受動喫煙防止措置の努力義務を課しているが、具体策は示していなかった。通知はこれを一歩進め、喫煙区域を設ける「分煙」ではなく全面禁煙が望ましいとの考えを明示する。
対象は、学校▽病院▽百貨店▽官公庁▽飲食店▽ホテル▽娯楽施設▽鉄道、タクシー、旅客機−−など。自治体などを通じ、管理者に周知を図る。健康増進法が罰則を設けていないため、通知違反にも罰則はない。
通知案によると、受動喫煙による健康への悪影響について「科学的に明らか」として、肺がんや循環器疾患、妊婦の低体重児出産などリスクが上昇すると指摘。分煙ではドアの開閉などで煙が禁煙区域に流れるのを防ぎきれないため、公共的な空間は原則全面禁止にすべきだとしている。
そのうえで、全面禁煙が極めて困難な場合は、喫煙可能区域を明確に表示し、ポスターなどで注意喚起しながら、未成年者や妊婦が立ち入らない分煙措置に努めるよう求める。
職場での受動喫煙については、厚労省の有識者検討会が法規制に向けた議論を進めている。労働者は拘束時間が長いため、事業者には健康障害防止の安全配慮義務があるとの考えから、検討会は15日、全面禁煙導入や煙が漏れない喫煙室設置などの対策を事業者に義務付けるとの提言を大筋でまとめた。厚労省は提言を受けて、労働安全衛生法の改正などを検討するとしている。【清水健二】
◆原則全面禁煙の主な対象◆
駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル・旅館などの宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設、鉄道車両、バス、タクシー、航空機、旅客船
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